死亡事故の場合、被害に遭った方が亡くなってしまっているため、その方が将来的に得るはずだったと考えられる利益の全てが逸失利益となります。
事故前の収入などを基礎とし、就労可能年数(67歳)までの収入をシミュレートして算出することが一般的です。
収入×(1−生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数
有職者については、原則として事故前の現実の収入が基礎となります。
被害に遭った方が仮に生きていた場合、生活するために収入の一定割合を支出したはずです。したがって、生活費相当額については、逸失利益を算定する上で控除されることになります。
生活費控除の割合は収入や家族構成により一定しませんが、30%〜40%程度が控除されることになります。
損害の額が決定したら、次に将来利息の控除が行われます。損害額から、将来利息相当額を差引く操作です。
少し分かりにくい部分ですが、逸失利益というのは「将来的にいくらの利益が失われたか」という未来の話をしています。たとえば「37歳で死亡、逸失利益が1億円」という場合、死亡時から就労可能年数の限界である67歳まで、30年間受け取り続けていく予定の給与や年金などを積み重ねると、全部で1億円になるという意味です。
つまり逸失利益が総額1億円だからといって、現在の時点で1億円をそのまま受け取った場合、本来は30年後に得る予定の金額まで含めて前倒しで受け取ってしまうことになります。本来受け取る時期よりも早くお金を受け取るということは、本来受け取る時期までの利息分、もらい過ぎという考え方なのです。
そこで、損害額から、事前に将来利息分を差し引いた額が被害者に対して支払われることになります。
この計算方法は「ライプニッツ式」「ホフマン式」として表にされています。
労働能力喪失期間 | ライプニッツ係数 |
---|---|
1年 | 0.9524 |
2年 | 1.8594 |
3年 | 2.7232 |
4年 | 3.5460 |
5年 | 4.3295 |
6年 | 5.0757 |
7年 | 5.7864 |
8年 | 6.4632 |
9年 | 7.1078 |
10年 | 7.7217 |
11年 | 8.3064 |
12年 | 8.8633 |
13年 | 9.3936 |
労働能力喪失期間に応じた個所の係数を、「基礎収入」に掛けることで、将来利息を控除した「現在受け取ることのできる額」が算出されるというわけです。
(例)
500万×(1−40%)×7.7217=2,316万5,100円